派遣法の目的

1980年代の日本では、企業は経済・産業構造の変化への対応をするようになり、労働者は価値観が多様化し柔軟な働き方を求めるようになってきました。当時、人材派遣は職業安定法で禁止されていましたが、必要な時期に必要な労働力とスキルを求める企業側とスキルを活かしながら働きたい場所や時間や仕事を選びたい労働者側の双方のニーズに対応する制度として、1985年に派遣法が制定されました。
派遣法の最も重要な目的は、「労働市場のマッチングを適正に行うこと」であり、加えて「派遣社員の保護と雇用の安定を図ること」とされております。

沿革

可能業種 派遣先の受入期間制限
1986 13業種のみ 9ヶ月
1996 26業種のみ 1年
1999 5業種を除き全業種可能
(建築・港湾・警備・医療・製造)
無制限(26業種)
1年(26業種以外の業種)
2004 4業種を除き全業種可能
※製造業が派遣可能に
無制限(26業種)
3年(26業種以外の業種)
※製造業は解禁時1年、2007年に3年に変更
2012 [ 可能業種・受入期間制限はそのままで以下の主な規制が追加 ]
○日雇派遣の禁止
○グループ企業派遣の8割以下に制限
○マージン情報提供義務化
○労働契約みなしの創設
2015 4業種を除き全業種可能
※2004年から変更なし
全業種3年
同一の事業所で3年

業務範囲

港湾、建設、警備、医療関連業務、弁護士・社会保険労務士などのいわゆる「士」業については、派遣法の適用範囲から除かれ派遣が禁止されています

  • 港湾業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 病院・診療所等における医療関連業務
  • 弁護士・社会保険労務士等のいわゆる「士」業務

期間制限

人単位の期間制限

派遣先企業には「期間制限」があります。派遣先企業の同一事業所が派遣社員を受け入れられる期間は、原則3年が限度となります。3年を超えて派遣社員を受け入れたい場合は、労働組合などからの意見を聞く必要があります。

※施行日以降、最初に新たな期間制限の対象となる労働者派遣を行った日が、3年の派遣可能期間の起算日となります。それ以降、3年までの間に派遣労働者が交替したり、他の労働者派遣契約に基づく労働者派遣を始めた場合でも、派遣可能期間の起算日は変わりません。(したがって、派遣可能期間の途中から開始した労働者派遣の期間は、原則、その派遣可能期間の終了までとなります。)

※(厚生労働省)「平成27年労働者派遣法改正法の概要」より

人単位の期間制限

派遣社員には「期間制限」があります。一人の派遣社員が派遣先企業の「同じ部署」で勤務できる期間は、3年が上限となります。その後は「異なる部署」であれば派遣社員として勤務することができます。

※組織単位を変えれば、同一の事業所に、引き続き同一の派遣労働者を(3年を限度として)派遣することができますが、事業所単体の期間制限による、派遣可能期間が延長されていることが前提となります。(この場合でも、派遣先は同一の派遣労働者を指名するなどの特定目的行為を行わないようにする必要があります。)

※派遣労働者の従事する業務が変わっても、同一の組織単位内である場合は、派遣期間は通算されます。

※(厚生労働省)「平成27年労働者派遣法改正法の概要」より

なお、

  • ・無期雇用の派遣社員
  • ・60才以上の高齢者
  • ・有期プロジェクト業務(終わる時期が明確なもの)
  • ・日数限定業務(派遣先の所定労働日数よりも相当程度少なく月10日以下)
  • ・産前産後・育児・介護休業代替業務

には期間制限はありません。

その他の制限事項

日雇派遣の原則禁止

派遣は「臨時的・一時的」が原則ではあるのですが、日雇派遣を行う事業者の中に、本来雇用者側が果たすべき法的責任が守られていないケースがあり、労働災害の発生の原因にもなっていたこともあり2012年の法改正で原則、日雇派遣は禁止とされました。 ただし、禁止とされた日雇い派遣は労働契約が30日以内の派遣のことを指しますので、労働契約が31日以上であれば、働くことが可能です。

例外として、以下の場合は、日雇い派遣で働くことができます。

可能な業務/可能な方

グループ企業派遣への制限

派遣会社と同一グループ内の事業主が派遣先の大半を占めるような場合は、人材派遣の適切な利用法といえないため、派遣会社がそのグループ企業に派遣する割合は全体の8割以下に制限されています。

離職後1年以内の元従業員の派遣労働者としての受入禁止

企業内で働いていた方を派遣社員に置き換えることで、労働条件が切り下げられることのないよう、派遣会社が離職後1年以内の人と労働契約を結び、元の勤務先に派遣することが禁止されています(元の勤務先が該当者を受け入れることも禁止されています)。

派遣事業を行える会社の条件

人材派遣事業は、厚生労働大臣による許可制です。また、許可取得後も定期的に更新手続きをする必要があります。

[許可基準]

 (1)人材派遣を特定の企業に行うものでないこと
 (2)派遣社員へのキャリア形成支援を適切に行う能力・体制が整っていること
 (3)雇用管理を適切に行うための体制が整備されていること
 (4)個人情報の適正管理や、派遣社員の秘密保護のための体制が整っていること
 (5)派遣事業を適正に運営できる資産・財産があること

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※許可・更新等手続マニュアル(PDF)

雇用安定措置

派遣会社は、派遣社員のキャリア志向(正社員志向・派遣社員志向等)に配慮しながら、就業継続を希望する派遣社員に対し、下記の雇用安定措置のいずれかを行うことが求められております。

[雇用安定措置]

 (1)派遣先への直接雇用の依頼
 (2)新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)(派遣元での無期雇用派遣も含む)
 (3)派遣元での無期雇用(派遣労働者以外としての)
 (4)その他の安定した雇用の継続を図るための措置(有給の教育訓練、紹介予定派遣など)
  ※(1)を実施した場合に、直接雇用されなかったときは、(2)~(4)までのいずれかを実施する。

雇用安定措置の対象となる派遣社員は派遣期間により変わります。

対象となる派遣社員 派遣会社の責務
同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある方 (1)~(4)のいずれかを行う義務
※(1)を行っても直接雇用されなかった場合は、
(2)~(4)のいずれかを行う
同一の組織単位に継続して
1年以上3年未満派遣される見込みがある方
(1)~(4)のいずれかを行う努力義務
上記以外の方で派遣会社に雇用された期間が
通算1年以上の方(登録状態の方も含む)
(2)~(4)のいずれかを行う努力義務

キャリア形成支援

派遣会社は、派遣社員の希望に対し、キャリアコンサルティングを実施することを求められております。また、派遣社員のキャリアが形成されるように教育訓練計画を立て、入社時研修やOJTを含む具体的な教育研修を行うことを求められております。

 ①希望者に対するキャリアコンサルティング等の実施
  ・派遣労働者のうち希望者全員が対象
  ・キャリアコンサルティングの知見を持った担当者を配備(資格の有無は問われません)

 ②計画的な教育研修(「段階的かつ体系的な教育訓練」と呼ばれます)の実施
  ・派遣労働者全員が対象
  ・有給無償
  ・入社時教育研修
  ・キャリアアップに資する内容(OJTも含む、訓練計画書作成が必須)
  ・無期雇用の方には長期的なキャリア形成を視野に入れた内容
  ※入社時の実施は必須
  フルタイムで1年以上の雇用見込み者には毎年8時間以上必要(3年間)

キャリア形成支援

2012年の法改正により、「労働契約みなし」制度が設けられ、2015年10月1日から施行となっています。 この制度は、違法派遣を受け入れた派遣先に対し、対象の派遣社員を直接雇用するよう強制的に雇用契約の申込みをしたものとみなす制度です。

対象となる「違法派遣」や、みなし制度の概要は以下をご覧ください。

可能な業務/可能な方

労働派遣法

労働市場の変化に合わせて労働・雇用に関する法律が制定・変更されてきております。
労働・雇用に関する法律を「労働契約に関する法律」、「労働市場に関する法律」、「均等・均衡待遇に関する法律」の3種類に分類し、主な法律を掲載いたしました。なお、派遣法は、職業安定法の関連法という位置づけとしております。

労働契約に関する法律
労働市場に関する法律
均等・均衡待遇に関する法律

その他社会保険・税制関連法

その他、社会保障に関する法律、税金に関する法律を分類いたしました。

社会保障に関する法律
税金に関する法律
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