→  派遣社員のみなさんへ
わたしたち派遣社員は、働き方が流動的で勤務形態もライフスタイルもさまざま。そんななか、つい年金のことは忘れてしまいがち・・・。年金の専門家である富山さんに、上手な年金とのつきあい方をうかがってみました。 富山節子さん(社会保険労務士)
あまり知られていない「年金の常識」
年金は5年ごとに制度の見直しが行われておりますが、2004年は特に大きな改正となり、かつて例をみないほど年金の問題がテレビ、雑誌等でとりあげられました。「国民年金は加入期間が25年ないともらえない」ということを国民の4割が知らないという新聞記事もありましたが、いつからいくらもらえるのかといった年金の常識をほとんどの人は知らなかったのです。バブル崩壊後金融機関の破綻も相次ぎ、自分の資産は自分で守り、老後の資金も蓄えなくてはならない時代になりました。
年金はとても魅力的な制度です
若い世代の中には、将来年金はもらえないから加入していないという人も少なくないようですが、年金加入の代わりに、預貯金や生命保険で老後資金を蓄えようとすると、実は莫大なお金が必要で、掛金と受け取れるお金の割合を考えると、年金はとても魅力的な制度になっていることを多くの人が知りません。年金は万が一ケガや病気がもとで障害を負ってしまった場合の障害年金や、一家の働き手がなくなったときの遺族年金など、諸々の制度が整えられた「保険」でもあるのです。
国の年金は国民年金と厚生年金
年金と一口に言いますが、国で作っている年金制度には国民年金と厚生年金(公務員等は共済組合)があります。日本に住む20歳から60歳未満の全ての人は、国民年金に加入します。その中で会社に勤める人はさらに厚生年金に加入します。
厚生年金なら給料が年金額に反映されます
厚生年金に加入した人は、厚生年金の保険料を支払うだけで、国民年金にも同時に加入しているという制度になっていて、さらにその保険料は事業主が半分負担しています。自営業者は国民年金のみの加入なのに対して、会社に勤めていると年金が国民年金と厚生年金の2階建てになります。国民年金は掛金も一律で、受け取り額も加入年数によって決められていますが、厚生年金は会社からもらう給料によって標準報酬が決められ、それにより支払う保険料の額が受取額にも反映されます。
※国民年金は掛金が2017年度まで毎年度月額280円(この額は物価指数等により変動します)引き上げられ最終的に月額16,900円となる予定です。
派遣社員も厚生年金の加入対象になります
厚生年金は、希望すれば加入できるというものではなく、逆に加入要件を満たせば好むと好まざるとに係らず、加入しなければなりません。厚生年金に加入している会社に勤める70歳未満の人はすべて加入します。派遣社員の場合も、労働日数と時間によって、派遣会社で働く通常の社員と比較して、概ね4分の3以上であれば加入します。加入手続きは会社が行います。加入期間を被保険者期間と呼びますが、月単位で加入し、同じ月のうちに就職と退職がある場合でも、月の途中から加入した場合でも、その月は丸々1か月分と数え、保険料も1か月分納めます。また、月の途中で退社し、その月のうちに別の会社に勤めたときは、その月の中で最後に勤めていたところで被保険者となり、保険料も後の会社で納めます。会社を辞めると厚生年金もやめることになります。切れ目なく別の会社に勤めるときは、厚生年金にも切れ目がありませんが、間があくときは、自分で手続きをして国民年金への加入に切り替える必要があるので要注意です。
将来海外で暮らす予定のある人は
長期で海外に滞在する人の中には、加入期間が25年に満たないおそれがあるため、年金には加入したくないという傾向がみられます。しかし、加入要件を満たせば、厚生年金に加入しなければなりません。現在、日本とドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイスとの間には、年金が通算できる社会保障協定があり、近々イタリア、インドもこれに加わる予定です。また、海外で暮らす厚生年金加入の資格のない人のためには、国民年金に任意で加入する制度があり、将来年金をもらうことも可能です。なお、老齢給付に結びつかない短期在住の外国人を主な対象として、6か月以上加入すれば、帰国時等、掛け金の一部が戻る脱退一時金制度もあります。年金に加入していれば、万が一、障害状態になった場合の備えにもなりますので、海外で暮らす予定のある人も、厚生年金に加入するか、国民年金に任意加入して、将来年金を受け取りましょう。
女性を応援する2004年改正
2004年の年金改正は、年金受給額が増える見込みもあまりない、加入者にとって歓迎されるものではありませんでしたが、女性を応援する改正もありました。
その1 手続きを忘れていたサラリーマンの奥さんの救済
配偶者に扶養されている人(被扶養者)は、第3号被保険者と呼ばれ、保険料を納める必要がなく国民年金に加入できるという扱いになっています。2002年までは、会社勤めをしていた人が配偶者の被扶養者になった場合や、配偶者が会社を替わった場合は、自分で役所に行って手続きをすることが必要だったため、被扶養者になっているのに、第3号被保険者として国民年金に加入できていない人が多くいました(2002年4月から配偶者の被扶養者になると国民年金の手続きも連動してできるようになりました)。気づいたときに手続きしようと思っても年金には「時効」があって、2年より前はもう手続きができないのです。ところが、2005年4月から、第3号被保険者の特例届出が開始されることになりました。この届出をすると、第3号被保険者に該当していた当時までさかのぼって、第3号被保険者として取り扱われることになります。2年より前の届出漏れの未加入期間のある人は、将来年金が少しでも多くもらえるためのラストチャンスですから、ぜひ自分の加入期間を確認して手続きしてください。
その2 離婚時には夫の年金が分割されます
離婚するときにずっと専業主婦で、厚生年金に加入したことがない人は、現行法では、国民年金しかもらえません。結婚していれば夫の受け取る年金は夫婦の生活費として使われますが、離婚すれば元夫だけのものです。妻の長年の内助の功があったからこそ夫も年金がもらえたはずだということで、2007年4月からは、離婚の際に妻が請求すれば、夫婦であった期間の夫の厚生年金が妻にも分割されることになりました。その他、育児休業期間中の厚生年金保険料免除(会社、本人ともに)も、2005年4月からは1年間から最大3年に延長されます。「女性を応援する」改正と紹介しましたが、第3号になれるのは女性だけではなく「専業主夫」も対象です。離婚した場合も「妻」ではなく「第3号被保険者」だった人に年金が分割されるという話なので、実は女性のためだけの改正ではありません。
年金は「打ち出の小槌」。節目の手続きを忘れずに
年金は死ぬまでずっともらい続けることができる「打ち出の小槌」といっても過言ではありません。障害や死亡にも対応する保険であることもすでに述べました。将来少しでも多くもらえるようにするために、一番大切なことは「手続きをきちんとしておく」ということです。就職、結婚、出産、退職といった人生の節目には、年金のことを必ず思い出し、何か手続きはなかったか?手続きはもれていないか?という確認を習慣づけると良いでしょう。自分の年金は自分で守り、豊かなセカンドライフをめざして、備えを万全にしてください。
 
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